不可視

長所と短所は紙一重なんていうのはうそだ。 自分の愛が、どうしようもなく幼稚で、気づかなくていいよ・でも尽くしたいという気持ちを隠しているようで、隠したふりして、まったくそんなことはなくて すべて伝わってしまっていて、そのことが相手にとってい…

9合5勺の先の話

富士山へ登った。はじまりは去年の夏で、お盆に家族で集まった際にひょんなことからそんな話になり、もともと登山経験のある父と姉がわたしを誘ってくれたのだが、登山はまったくの未経験であるわたしは「富士山なんて見るものであって登るもんなんか?」と…

たゆたうというイベントの話

今年、アラバキロックフェスに行った。 (タイトル詐欺じゃないです) 2019年に行った後、世界はコロナ禍に突入。ほぼすべてのイベントは中止にならざるをえない状況に。4年ぶりに行ったアラバキは懐かしくて本当に楽しみで、交通トラブルに巻き込まれたもの…

五月の虹について

トナカイさん - 五月の虹 手が届く 予定が合わせられないまま展示期間が終わりそうになってかなり落ち込んでいたところに延期と在廊のお知らせを目にして慌てて有休をとった。どしゃぶりだったけど新しい服を着て写真を撮ってもらいたかったので、雨なのにと…

イルミネーションの詩

今朝はアラームをかけていないのに早くに目がさめて、きみがいなくなるような予感でもしたのかと思ったよ。 こんな日は、あふれだしてとまらなくなる。 いちごのやつがないからって買わなかったケーキを、電車に置き忘れた手ぶくろの片ほうを、本を抱きかか…

年末の詩

今日という日にむかし話を、 今日という日にむかし話をおくろう。 いつかおもいだすとき、わたしは だれかの人生の登場人物になれているだろうか。 いつかおもいだすとき、それは きっと、極彩色。 今日という日を、むかし話にしよう。 世界は、消えてしまう…

ボクたちはみんな大人になれなかった

用事があって東京に深夜バスでやってきた朝に観た。原作の小説が販売されるとともにティザーが公開され「昔好きだった人をSNSで見つけてしまったことはありますか?」の文字に身震いしたのを思い出す。 映画を通して話は過去に行ったり来たりを繰り返す。そ…

ぼのぼのでいうところの

そう。ぼのぼのでいうところの「もうダメだ~」になる瞬間がある。今がそれだが、こういうのはよくあることで。3年前もこうだったし半年前もこうだったし先月も同じだった。先週も。足元はグラグラしていて不安定。よりかかる何かがないと倒れてしまうし、…

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

ものすごくうるさくてありえないほど近い、ぼくの心臓。 学生のころに授業で観たきりだったのだけれど、アマプラで見かけて再視聴しました。 しゃべらないけど話を聞いてくれる人の存在ってめちゃくちゃでかいよね、人は誰かに話すことで気持ちの整理をして…

ハケンアニメ!を観たよのはなし

16対9くらいの四角がある。まっしろな、四角。最初はここから。この中で、何が起これば楽しいかを考える。何が起これば、画面の前にいる人が目を向けてくれて、どこかにいる誰かの胸に刺さるかを、考える。そうして、誰にも言えないことを抱えた君が、誰にも…

罪の声

深淵の住人たち。あれから世界は、少しでもあなたがたの味方になりえているだろうか。 今度の小栗旬は記者!やっぱりなんか大変そうにしてる小栗旬好き。野木亜紀子と星野源は相性バツグンやし、メガホンは花束みたいな恋をした、そしてカルテットでも監督回…

青の帰り道

戻れない場所。戻れない時間。あの頃はよかったなあって思い出す瞬間があって、懐かしくなるとともに今との違いに絶望を覚えるわたしたち。鮮やかだった青は、大人になるにつれくすんでゆく。今も昔もまっすぐ続いているのは、あの日の帰り道だけだ。 予告も…

スターフィッシュ

大好きな人が死んでしまったら、ぼくの世界も滅亡してしまうだろうか。へこんだ枕も、排水溝につまった髪の毛も、買い置きされたカップ麺も。あなたがいた証はそこかしこに残っているのに、あなただけがどこにも見当たらない。人間が滅べばいいと思ってしま…

パンズ・ラビリンス

信じたものが、神様でいいよ。信じたものが神様でいいなら最後まで信じさせて。 神様なんていないなら、祈りの作法なんて最初から教えないで。魔法なんて使えないなら、呪文の言葉なんてこの口から出てこないで。 人生はおとぎ話でいい。だってわたしたちは…

パターソン

蜜蜂と遠雷で明石が言っていた、生活者としての音楽を奏でたい。パターソンがこの先どうなるかは分からないし、彼が明石ほどの想いを創作に持ち合わせているかというと正直分かりかねるが、パターソンの詩は、きっと、生活者としてのそれなんだろうと思う。 …

蜜蜂と遠雷

言葉以外の何かで語り合うことのできる人々のことが、ずっとずっとうらやましかった。世界はすべて、音楽でできているのだと、そのことの本当の意味を、全身で理解することのできる人になりたかった。 雨は、心みたいだ。ときには激しく、ときには優しく、悲…

花と雨

リアルなストリートのことはよくわからんが、ただ、思う、それがてめーのリアルなんか?本当に? 画はめちゃくちゃキレイ。カメラも好み。だからなんか起こるんとちゃうんかなってずっと期待してみてしまったが特になんも起こらんかった。と思うわたしはまだ…

A GHOST STORY

こんなに死にたくないと思ったのは初めてかもしれない。死ぬのが怖くないとは思わないが、死ぬことそのものよりも、その後の世界に残るほうが幾倍も怖い。 観る前からなんとなくものすごく芸術を感じる映画なのだろうなとは感じてたから、こんなこと思うのめ…

3月11日についての詩

わたしたち悲しいくらい、忘れるのが得意な生きものたち。ああ、あの日見た空の色は、何色だっけ。きみが着てた服の模様、どんなだっけ。あのとき、何を、言おうとしたんだっけ。 忘れちゃったな 忘れちゃった その忘れっぽさを 憎み その忘れっぽさに 救わ…

新橋駅前 洋菓子店にて #72時間

昔このあたりで仕事をしていた頃のことを話してくれる女性。仕事して、得たお金でお酒を飲んで、明日への活力にする、それがささやかな幸せ。 ささやかな幸せで、今日も人は働いている。 結婚30年、奥さんとつきあっていたときのことを話してくれる男性。息…

2月24日についての詩

ほしをみていた かぜのなかで そらはほのあかるく みえないものにかげをおとす なみをみつめる きみのひとみが ひかりをとらえて よどみをとりはらってゆく ぼくらの みらいは ただただ いろあざやかに ぼくらの たましいは きらきら はためく あなたの つめ…

好きと意地だけで。

何年か前に転職をした。経歴でいうとこれで2回目だ。いろいろあったが、簡単に言えばどちらも人との関係が問題だった。1度目のきっかけは、死んでもらえますかと言われる現場が怖くて仕事ができなくなってしまったこと。2度目のきっかけは、上司のセクハラに…

ルーム

ママ、嘘つきって言ってごめんね。葉っぱは緑色なんかじゃなかった。空は青くて、少し背伸びをすれば手が届きそう。風が吹いて、ほっぺにキスしてくれるのはママだけじゃないってことを知る。ぼくがこの世界を気に入るって、どうしてママは知っていたの。 イ…

フランシス・ハ

フランシス、27歳。わたし、25歳。年齢だけどんどん自動的に大人になって、たぶん中身はずっと子ども。誰かといっしょにおりたいけど、話を合わせたりするのはほんまは苦手。陽キャの真似みたいなことしたりして、でもできひんくて空回り。ああわたしってな…

フィールズ・グッド・マン

僕らが夢みた世界ってこんなだったっけ?取り戻さなきゃ、世界中に散らばったペペの欠片を! SNSの中で生きるわたしたちは、指先ひとつで人を殺せるのだと常日頃思って生きている。それがまさか、漫画のキャラクターまで殺しえてしまうとは。 お気楽な顔をし…

花束みたいな恋をした

みんなどこか無理していっしょにいる。恋愛ってそういうこと。好かれたいから合わせるし、格好よく見せようとするし、運命的な何かを過剰に感じようとする。 すべての作品は観ていませんが坂元裕二ラブ人間なので冒頭からみぞみぞした。どんな映画もそうだろ…

ジョン・F・ドノヴァンの死と生

この世界はいろんな悪意と脅威にみちていて、ときどき他人のことも自分のこともわからなくなる。SNSに書かれる内容は信用できないのにあっという間に広まるし、誰が言ったかも分からない言葉であふれ噂には尾ひれがついていつのまにか収拾がつかなくなる。そ…

road to the world

Free!、やっとみた。昨日のレイトショーで。 映画の冒頭から、鼻をすする音が聞こえてきた。 まこちゃんの、「この先なにがあるかわからないけど泳ぎ続けていたい」という夢。 渚くんの、「ボクはね、ずっとずっとみんなと仲良しでいたい!楽しい気持ちいっぱ…

0629

ハレルヤからはじまるNOT WONKで、世界がすべて、優しさでつつまれる。 かなしくっても、生きていてよかった。

0505

帰り道を歩くわたしの前で、自転車をゆっくりゆっくり漕いで進む恋人が、ふいにandymoriを歌いだして、それがかなりよくてちょっと泣いてしまった。 大好きなCDをかけてあの頃に帰ろう まだ怖れも知らなかった無邪気なあの頃に 恋人よ あなたのことを愛さな…