罪の声

深淵の住人たち。あれから世界は、少しでもあなたがたの味方になりえているだろうか。

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今度の小栗旬は記者!
やっぱりなんか大変そうにしてる小栗旬好き。
野木亜紀子星野源は相性バツグンやし、メガホンは花束みたいな恋をした、そしてカルテットでも監督回のあった土井監督。この人たちって逃げ恥でもタッグを組んでいたのね!とてもとても上質なドラマスペシャルを観た気分。映画っぽくはないので、そこはちょっと好みではなかったかも。
こういうのは説明過多になりがちやんな。
関西弁に違和感はあれど、京都/大阪を大きく舞台にこの作品をやりきってもらえて関西人としては大満足。小栗旬にときどき関東弁がまじるのも、関西出身でも東京に行けばそれなりに染まって帰ってきてしまうし、東京にいても同郷の人と話せば関西弁になっちゃうし、逆にそれが演技にも見えてわたしは愛しかった。
「ええ人」「もうええて」
「待って!ええ人!」「しつこい!」
ここのやりとりは野木さんらしくて好き。それよりも小栗旬演じる阿久津が、途中何度もオウム返しになるシーンが多くてそれが気になっちゃったな。

主人公はまぎれもない、宇野祥平演じる総一郎。
おとなになった総一郎は誰なんだろうとずっと思って観ていたけど、彼が出てきてとてもとても腑に落ちた。
あの場面は、すごくすごく、見応えというか、なんというか、、言葉通り〝すくわれるな〟と思うシーン。
星野源演じる俊也は、テープを見つけてしまい自分の声に罪の意識を持ってしまうのだけれど、その声によって総一郎はあちら側へ行かずに済んだ。そして母親との再会を果たし、望の声を聞きたがった母親とテープの声を聞いて家族3人の時間を手に入れた。それがもう、皮肉もええとこすぎて、感情がぐわんぐわんてなる。映画を観てからポスターをあらためて見て、手を繋いで走り出すきょうだいに胸がしめつけられてしょうがなかった。望は、ひょっとしたらあの事故のあと誰かに助けられてどこかで暮らしているのでは、みたいな希望を持たずにはいられない。

子どもである自分を犯罪に巻き込んだ人間が身近にいたこと、声だとしても道具のように扱われたその事実は消えない。映画では解決したけれど、実際は違うということがよりいっそうわたしたちにこの事件の被害者のことを思わせる。たかが声。されど声。
巻き込まれた子どもたちは今、どうしているのだろう。
同じ事件に巻き込まれてもこんなにも人生に違いがある。知らないということはある種の幸せ。今の幸せを壊したくないと思うのは当たり前だ。ただ、事件を追う中で同じ被害者がいることを知り、その人たちが決して自分のように幸せな暮らしをしてきたわけじゃないということになにか、自分にできることをしなければという使命感がうまれる俊也のキャラクターがわたしはとても好きだなと思った。

事件の解決が、必ずしも正義だとは限らない。
ただ、苦しむ必要のない人たちがずっとずっと苦しみ続けてしまうことのないような世の中になってほしい。