青の帰り道

戻れない場所。
戻れない時間。
あの頃はよかったなあって思い出す瞬間があって、懐かしくなるとともに今との違いに絶望を覚えるわたしたち。鮮やかだった青は、大人になるにつれくすんでゆく。今も昔もまっすぐ続いているのは、あの日の帰り道だけだ。

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予告も前情報もなしに観始めたら仲良し男女のふたりがいきなりamazarashiのパーフェクトライフ弾き語りしだしてしぬかとおもった。青森が舞台なのかなと思ったけどちがった、群馬でした。
わたしにとってamazarashiは、死にたくてたまらなかった毎日を救ってくれたささやかな光だった。別に多くの希望を語るような歌なわけでもない。「わかる」「わかってくれる」と思えたことだけが、それだけが救いだった。「少年少女」みたいだって言ってる人がいたけど、すごく共感する。と同時に、「さくら」のようであり「逃避行」のようであり、「未来づくり」のようであり、このあとには曲のタイトルがまだまだ続くのだろうなと思う。

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「死に損なった」って言うより
「生き損なった」ってのが正しい
~逃避行~

なぁ 結局僕らは正しかったのかな、あんなに意地になって間違ってなんかいないって やれば出来るって唇噛み締めて夜に這いつくばって
ふざけんな ここで終わりになんかすんな 僕等の旅を「青春」なんて 名づけて過去にすんな
~さくら~

今までのことなんて帳消しにしたいんだけれど 今日までの失敗なんて破り捨ててしまいたいけれど
こんな僕だからこそあなたが好きになってくれたって言うなら
もういいよもういいよ
それだけでもういいよ
~未来づくり~

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大きな問題を抱えてしまったこの作品が、かたちになって本当にありがたい。とやかく言うつもりはひとつもないが、コウタ役は戸塚くん以外考えられないと思った。わたしにとってamazarashiが希望なら、この作品も誰かの希望になりうると思う。
正しさがわからなくても、まちがいじゃないと信じたい。
ニルヴァーナのジャケ写Tシャツ、
時計じかけのオレンジのポスター、
折りたたみのガラケー、画質の悪いデジカメ。
青春は、いつだってひたひたとわたしたちの背後についてまわるくせ、振り向いたらあんなにも遠い場所にいる。寄り添ってくれやしない。

なりたかった自分ってどんなだっけ?
目指した未来ってなんだっけ?
そこにわたしもあなたもいたはずなのに、今はどこにも見当たらない。わたしたちはもう、「マジ」で「最高」なわたしたちなんかじゃない。なんにでもなれる気がしてたのは、ほんとに気がしてただけだった。
日常に降りかかる悲しみも苦しみもまるで雹まじりの雨。しかめっ面で街を歩くわたしたちに、誰かが肩をぶつけても、横断歩道の途中で立ち止まるわけにはいかない。大したことないよね。そういうの経験して大人になっていくんだよね、わたしたち。わかってるよ。わかってる。


わかんないな。わかんないや。
大人にはなれない。わたしはずっと子ども。
心はいつだって雨曝し。

だれか。だれか、。