こわれてしまうまえに。

会社の先輩が飛んでしまった。
本当にこんなことってあるのか。
全然信じられなくて、信じられないなりになんとか生きている。
すごく好きで、慕っていた先輩だった。
いつも気にかけてくれて、優しい人だった。
落ち込んでるの気づいてくれて、
メシ食って帰ろか~って誘ってくれて、
上司の愚痴も聞いてくれて、わたしにとって大きな存在だったから。
何を言うのが正解なのかわからなくてつらい。
何ひとつ気づけなかった自分が情けない。

 

それでも、少しだけ、よかったとも思った。
壊れてしまう前に離れることができたのなら、
それはそれでよかったのだと。
そしてこれは他人事ではないなとも。

わたしだってこのまま、
打ち合わせに行かずどこか遠くの駅まで乗り継いで
帰ってこなくなるかもしれない。
パソコンとプレゼン資料の入った重いかばんを、
橋の上から投げ捨てて
このまま飛び降りてしまうかもしれない。

後輩のわたしが、そんなふうに仕事をしているのだから。
先輩だけど、先輩だって、
っていうかどっちかというと先輩のほうが、抱えるものは大きかったんだろう。
無責任だなとは到底思えない。
今思えばきっとそのくらい疲弊していた。
それでたぶんわたしも、このままじゃどこかで限界を迎える。
そうなったときにどうしたらいいのかわからない。もういっそのこと殺してくれ。