平成の詩

つけていた指輪がすこんと落ちた。

それきり、指輪を買うのをやめた。

昼下がり、休日の学生たちが電車に乗り込み、空いた座席にどかりと座る。砂埃のついたローファーと、ユニフォームがはみでたスポーツバッグが、車窓から差し込む夕陽に照らされている。

窓際で盛り上がる、スカートを履いた子たち。

裾から見える日に焼けた脚は、くるぶしのスニーカーのすきまから下は白く透き通っていて、それが明るくまぶしくて落とした視線を窓の外に向けた。

みじかかった髪は少しのびた。

数ヶ月前にかけたパーマを、まだ少し毛の先に残したまま、平成を終える。

 

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